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商社とコンサルは、いずれも「経営スキル」を身につけることができる職種として就活生に人気の業界です。しかし、それぞれの業務特性により実際に獲得できる経営スキルには明確な違いがありますが、皆さんはそれをうまく説明できますか?
本稿では、主に総合商社内定者の目線で、二業界の具体的な業務体験を通じて身につく実践的スキルの違いを詳細に分析します。
1. 事業投資・ポートフォリオ経営スキル
総合商社での経験の深度と実践性
総合商社では新人から数年で、実際の投資案件に関与する機会があります。例えば、オーストラリアの鉄鉱石開発プロジェクトで5億ドルの投資判断に携わる場合、以下の実務を段階的に経験します。
投資審査プロセスの実践的理解
多段階の投資審査(事業部門→本社投資審査部門→経営陣)での資料作成と説明を通じて、投資判断の実際のプロセスを体験します。単なる財務分析ではなく、投資審査委員会での厳しい質疑応答、複数の代替案検討、最終的な経営陣への説明まで一連の流れを経験します。この過程で、投資判断に必要な多角的視点(技術的実現可能性、市場環境、競合動向、規制環境、地政学リスク)を統合的に評価する能力が身につきます。
デューデリジェンスの実践と判断力
現地鉱山での技術DD、法務DD、財務DDを実際に実施し、机上の分析と現実のギャップを体験します。 技術DD では、実際の地質調査結果の解釈、採掘技術の評価、環境影響評価の実務を経験します。 法務DD では、現地法制度の理解、許認可取得の実務、先住民権利への配慮など、法的リスクの実態を把握します。 財務DD では、会計基準の違い、税制の影響、キャッシュフロー予測の精度向上など、実践的な財務分析能力を獲得します。
投資後の企業統治と価値創造
投資実行後は、投資先の取締役として経営会議に参加し、実際の経営判断に関与します。四半期ごとの業績レビューでは、予算と実績の差異分析、改善策の検討・実行を監督します。年次予算策定では、市場環境の変化を踏まえた売上計画、コスト削減計画、設備投資計画の策定に直接関与します。このような投資家としての実践的な企業統治を通じて、投資後の価値創造プロセスを実体験します。
【比較】コンサルティングファームでの経験の特徴と限界
戦略コンサルティングファームでは、クライアント企業の投資戦略策定を支援しますが、実際の投資判断や投資後の経営には関与しません。投資ファンドへの転職を想定した「投資スキル」として、企業価値評価、買収戦略、ポートフォリオ最適化などの手法は習得できます。しかし、自らリスクを負って投資判断を行う経験、投資後の価値創造に責任を持つ経験は積めません。また、プロジェクト期間が3-6ヶ月と短期間のため、投資の長期的な成果を追跡・評価する経験も限定的です。
2. 国際ビジネス・クロスボーダー経営スキル
総合商社での海外事業経営の実践
総合商社では入社3-5年目で海外駐在の機会があり、実際の現地法人経営を経験します。
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