会員登録すると
このコラムを保存して、いつでも見返せます
sponsored by 博報堂コンサルティング
2001年に博報堂から独立した博報堂コンサルティング。取り組むテーマはブランディングとマーケティングに特化しており、戦略コンサルティングファームでありながらクリエイティブ領域にも強みを持っている。理性(左脳)と感性(右脳)という一見相反する能力を併せ持つ、他に類を見ないファームだと言っていいだろう。
この場所でしか得られない経験と成長、そして仕事のやりがいについて、同社でも中心的な役割を果たしている3人に話を聞いた。
※内容や肩書は2024年6月の記事公開当時のものです。
ビジネスもクリエイティブも理解しているからこそ、戦略立案からアウトプットまで一貫して対応できる
――博報堂という会社のことは知っていても、博報堂コンサルティングについては詳しく知らないという就活生もいると思います。まずは会社のアウトラインを教えてください。
岩佐:業態の分類としては戦略コンサルティングファームになります。博報堂をはじめとする広告会社ではコミュニケーション業務の比重が高いですが、博報堂コンサルティングでは、上流の事業戦略と実行支援により重きを置いています。博報堂からもブランドやイノベーションの専門性を有する社員が数十名出向し、フラットに協働しています。
他のコンサルティングファームとの違いはいくつかありますが、まずはブランド起点での経営コンサルティングに特化していることです。コストカットやシステム導入などの案件はなく、トップラインを伸ばすための戦略策定から、ブランド体験の設計・実装、生活者との共創プログラム作りといった、創造性が高いレベルで求められる領域までを担います。
それに伴い、グループを含めて社内にデザイナーやコピーライターがいることも特徴ですね。最近だと大手グローバルファームがクリエイティブブティックを買収している例もありますが、やはり元から同じカルチャーを持ち、大きく同じ組織でやってきたことは強みになっていると感じます。ロジカルシンキングに代表される左脳的な考え方と、クリエイティブな右脳の働き。双方を高いレベルで鍛え上げていることが、当社の大きな強みです。
進藤:私たちはコンサルタントという職種ですが、デザインやクリエイティブに関する知見も持った上で戦略を描きますし、実際にモノづくりする際もデザインに対する解像度が高い状態でディレクションすることができます。戦略を考えられる人とデザインができる人が別々に存在しているのではなく、どちらの領域も理解している人たちが一つのチームを組成して業務を行っています。だからこそ戦略立案からアウトプットまでコミュニケーションロスがなく、一貫して対応できるのではないでしょうか。
――例えば新しいブランドのロゴやパッケージ、アプリのデザインなども行っているのでしょうか。
進藤:はい。デザイナーやコピーライターもプロジェクトチームに参画しているので、コンサルタントが描いた戦略に沿ってコピーやビジュアルを作成してもらっています。
村川:コンサルタントだからといって戦略やロジックに終始するのではなく、デザイナーやライターといったクリエーターの視点を取り入れ、プロジェクト全体の価値を高める姿勢や知見を持っていることが特徴だと思います。
また、ブランディングやマーケティングに特化しているという点は、私の入社動機の一つでもあります。システム導入や、一定の数値目標に対しセオリーを組み合わせる業務改善と比べて、当社の案件はテーラーメードでゼロから作り上げる部分も多く、自分の取り入れてみたいプロセスやアイデアなど、意思を反映しやすくなっています。自分自身が面白いと感じるものを世の中に生み出していけるので、やりがいも非常に大きいです。
岩佐:当然、確実性の高いデータなどを収集して土台にもするのですが、加えて探索的にプロジェクトを進めていくことが多いですね。
「もしかしたらこういうブランドがあれば人々の暮らしをアップデートできるのではないか」と、世の中の人も、クライアントもまだ認識しきれていないモノの見方や考え方を常に探求しています。一つの答えを導き出して提示するというよりは、クライアントとわれわれが一緒になって率直に議論しながら、答えを編み上げていくような形です。
村川:本当にその通りで、一緒に作っていくというプロセスには非常にこだわっています。
進藤:クライアントとコンサルタントという関係性ではなく、共に課題を解決する同じプロジェクトチームとして仕事をしている感覚ですよね。
クライアントの想いやDNAまでくみ取って、新規事業を考える
――そういった探索型のプロジェクトについて、具体的な事例を聞かせてください。
岩佐:ここにいる進藤くんと以前一緒に担当していたのが、赤坂の再開発計画です。三菱地所さんに声をかけていただき、共同事業者であるTBSさんと3社共同でプロジェクトを進めました。当然、ハード部分は三菱地所さんの得意領域で、今回の計画ではそこにTBSさんのコンテンツ・エンターテインメントを実装させていくのですが、その組み合わせのコンセプトメークや、ソフトとしてのサービス構想はわれわれが特にご支援できた部分なのではないかと思います。
定量的な分析に加え、赤坂の地域新聞を作っている方にお話を伺ったり、“ビジネス街”に限らない街の先進事例を広く参照したりなど、定量・定性、過去・現在・未来のさまざまな軸からリサーチを行っていきました。
進藤:赤坂はかつて花街として栄え、その伝統が今でも受け継がれている街なのですが、われわれはそういった元々ある文化やDNA、大事にしてきた想いを受け継いでいくことも重視しています。一方で未来に向けては、どのようなコンセプトでどんな機能があれば、赤坂らしく、かつ新しい赤坂としてより良くなるかを考え抜いていきました。ワークショップや集中討議を重ねていきながら、皆さんの思いをくみ取ってアウトプットを作ることで、最終的にはプロジェクトに関わった全員が納得できる方向性にすることができたと思います。
村川:今の事例は街づくりの案件でしたが、クライアントの思想やルーツまでくみ取って新しいサービスを考えるというのも、博報堂コンサルティングの特徴かもしれません。私は保険会社の新規事業を考えるプロジェクトを担当したのですが、人口減少社会の中で新しい事業を立ち上げたいけれど具体的には何も決まっていない、という状態からのスタートでした。
生活者の方が何に困っていて、何を求めているのかを調査してニーズを把握・分析し、検討の末にたどり着いたのは、特定の属性の方を中心とするCtoCサービスです。われわれのクライアントは、困っている方と支援できる方を結ぶマッチングの役割を担うことになります。
保険業と関係ないように聞こえるかもしれませんが、保険とはそもそもお金を出し合う相互扶助のシステムです。そうした相互扶助の形を考えていった結果として、その街で暮らす人が新たな方法で助け合おうという方向性が見えてきました。
進藤:プロジェクト初期のエスノグラフィー調査は私も担当したのですが、この方向性はクライアントからの反応も良かったですよね。
私たちは生活者の声も入念に聞きますし、各領域の専門家をお呼びして議論することもあります。この時は「人生100年時代」について、有識者の方を招いて、これからの時代にウェルビーイングはどうあるべきかを議論しながら学びを深めていきました。
村川:遠い未来にどういう社会であってほしいかを考えて、その上でどんな企業であるべきか、どんな事業サービスを作っていくかを逆算して考えるケースは多いです。他のファームだと、多くの場合市場性や既存のアセットとの親和性といった現実的な点を重視すると思います。
しかし私たちはその点だけにとどまらず、「どんな社会にしたいのか」「何があれば人は幸せになれるのか」を、この先20年30年というスパンで見据えながら新規事業の立案に臨んでいきます。別のプロジェクトではアーティストや大学教授、建築家の方をお呼びして未来潮流を議論したこともありました。既存の枠にとらわれずアイデアを生み出していく仕事は本当に面白いですね。
全員が同じ能力を持つ必要はない。それぞれの凸凹を愛し、強みを伸ばしていく
――左脳も右脳も鍛えていくというのはハードルが高そうにも感じますが、皆さんはどうやって成長してきたのでしょうか。
進藤:私は理系出身で戦略的・計数的な思考に慣れていたので、元々は左脳的なタイプだと思います。おっしゃる通り入社時は自分がクリエイティブスキルを鍛えられるのかという不安はありました。ただ、当社のいいところは右脳的な強みを持つメンバーと常に一緒に仕事ができるところです。人によって課題解決へのアプローチも違うので、そういったやり方を間近で見ているうちに自然と自分自身の思考の幅も広がっていったと感じています。
村川:私は逆でどちらかというと右脳型でしたが、同じくロールモデルになる人や教えてくれる先輩が周りにいるのは大きいと思っています。もちろん本人の努力は必要ですが、どう頑張ればいいのかは分かるので、安心して仕事に打ち込むことができています。
あとは、もちろん両輪を身に付けられればベストなのですが、当社にはいびつな部分を個性として受け入れるカルチャーもあります。ここは得意だけどこっちは苦手、という凸凹は誰にでもありますし、無理やりきれいな五角形に押し込めようとすることはありません。できないところは補い合えますし、とがった部分をさらに伸ばしていこうという考え方があります。過度に不安に思う必要はないのではないでしょうか。
岩佐:みんなが「他のメンバーや世界に潜む可能性を信じている」と言えるかもしれませんね。「あの人がこんなことを言っているけど、そこに真実があるかもしれない」「素晴らしいアイデアが眠っているかもしれない」と信じている。だからこそ凸凹のある人たちが一つのチームとして一緒に活躍できるのだと思います。
――これから入ってきてくれる人にはどんなことを期待しますか?
岩佐:「素直さ」でしょうか。今言った通り、周囲の意見に可能性があると信じて議論を組み立てていくことが大切なので、そういう素直さを持っていること。話すよりも聞き上手な人の方が活躍できるのではないでしょうか。
村川:付け加えるなら、好奇心旺盛で何でも面白がれる人に向いていると思います。好奇心は知的探求のためには絶対に必要な要素です。そしてさらに重要なのが、何でも面白がれること。今日の話は華々しく聞こえたかもしれませんが、そこに至るまでの作業はかなり地道です。ひたすらデータを分析する時間もありますし、クライアントに喜んでもらうためには継続して努力しなければなりません。
そうしたプロセスにも楽しみを見いだしながら、その先にあるゴールを目指してほしいと思っています。
――スキルや経験については一切言及されないのですね。
進藤:私も学生時代は再生医療の研究しかしていませんでしたから、ブランディングやマーケティングに関するスキルも経験もゼロの状態でした。今2人が言ったようなマインドや、考えることが好きな人であればきっと成長できると思います。
――ありがとうございます。最後に、就職活動中の学生たちにメッセージをお願いします。
岩佐:私は直感を信じていいと思います。就活では論理的に考えて「これが正しいはずだ」と思い込んでしまうこともあるかもしれません。ただ、最後には「何となくいいな」「嫌だな」という自分の感覚も大事にしてほしいです。直感というのはこれまでの人生経験からくる総合判断です。無理に自分を縛ることなく、自分の心に正直になって進路を検討してほしいと思っています。
進藤:私自身も大切にしていた基準なのですが、「何をするか」と同じぐらい「誰とやるか」「どんな環境か」といった視点も大事にしてもらいたいですね。やりたいことへの挑戦や必要なスキルの獲得は、自分の意識次第である程度どのような組織でも可能ですが、外部環境はなかなか変えられませんから。面談やインターンシップを通して、一緒に働く人や環境もチェックしてみてください。
村川:人生100年時代というワードも途中で出ましたが、現代は新卒入社した会社で人生が全て決まるわけではありません。あまり肩肘張らずに、興味を持てることはとりあえずやってみるという精神でいいのではないでしょうか。自分はマーケティングを勉強していないから、などと自分の思い込みで諦めず、自身が楽しめそうな道を探ってみてください。
自分次第で後からいくらでもリカバリーできますし、当社のように凸凹を愛してくれる会社もたくさんあると思うので、長期的な目線を持ってチャレンジしてもらえればうれしいですね。
この記事を友達に教える