Aさんは、中学生のころからWebサイトの制作を始め、その後も独学でプログラミングやサービス開発をしてきた。大学・大学院は「学問として面白い」と、非情報系の物理・化学系に進学。一方でソフトウェア開発は継続し、就活ではソフトウェアエンジニア職の内定を勝ち取った。Aさんの体験談から、専攻外ゆえに苦労したポイントと、就活を成功させるために取るべき行動が見えてくる。【北川直樹】
1. 中2からWeb制作を開始。独学でプログラミングを習得
2. 大学進学後は、化学系の学問とプロダクト開発を両立
3. 早めから行動し、長期インターンを経験するのが就活成功の近道
中2からWeb制作を開始。独学でプログラミングを習得
——ソフトウェアエンジニアリングの経験を教えてください。
A:Webサイト制作を含めるならば、中学2年ごろから行なっていました。高校に入ってからは延長でチャット機能を追加したり、新しいプログラミング言語を導入したりするなどのアップデートをしていました。
——始めたきっかけは。
A:中学の頃、友達とオンラインゲームをやっていたんです。当時は今のようにオンラインゲームのプラットフォームなどが整備されていなかったので、情報を共有するためのホームページのようなものがあると便利だと考え、作りました。
いわゆるアルゴリズムなどといった領域ではなく、ページ作り自体に興味がありました。
——プログラミングはどうやって学んだんですか。
A:独学です。インターネットで調べたり、技術書を読んだり。初めて作ったサイトは、HTMLとCSSでコードを直接書いて制作しました。基本は自力でやっていたのですが、躓いた場合はライブラリを活用して既存のコードを使うようにしていました。
——独学ゆえの苦労はありましたか。
A:簡単なプログラミングをしているうちは問題ないのですが、機能追加などで複雑になってくると、知識不足の壁にはぶつかりましたね。コンピューターサイエンスやアルゴリズムについてです。知識面で困った時には、教科書のような本を読んで対応していました。
初期はそもそもこういったことを意識していなかったので、自己流でプログラムを書いていた感じです。この点についても後に苦労しました。
——それはいつ頃ですか。また、どんな影響あったのでしょうか。
A:大学でプログラミングサークルに入ったのですが、そのときですね。プロダクトを複数人で開発するようになって、既存のソースコードを生かしたり、他人のレビューを受けたりする機会ができました。このときに、自分のプログラムの書き方の癖を自覚しました。
自分だけでプロダクトを作っている場合は問題なくても、開発時にソースコードを他人と共有する場合には、可読性などのために書き方が大事になります。また、プログラムが高度化すると、アルゴリズムを考慮する必要も出てきます。書き方次第で、動作性能に影響がでることがあるためです。
いずれも、自己流だけだと限界があると思いました。
大学進学後は、化学系の学問とプロダクト開発を両立
——大学は情報系学部に進まなかったのは、なぜでしょうか。
A:高校の化学の授業が好きだったんです。化学は分子式などパズル的な要素が強く、純粋に授業を受けたり問題を解いたりするのが面白いなと感じまして。その延長で、面白いと感じることを勉強したいと思い、応用科学系の学部に進学することにしました。
——他方でプログラミングやサービス作りに関心があったようですが、その方向に進むことは考えなかったと。
A:当時は選択肢として考えていませんでした。というのも、私は独学でプログラミングを行っていたので、そういった活動と学問とがリンクしていなかったんです。知らなかったというのが率直なところですね。
——それで大学入学後は、授業ではなくサークルでプログラミングやソフトウェア開発の活動をつづけたんですね。
A:はい。授業で情報系の科目は履修していませんでしたが、プログラミングサークルでプロダクト開発は行っていました。
——どんなプロダクトを作ったんですか。
A:Webサイトのブラウジングアプリを作りました。当時、大学のポータルサイトの使い勝手に改善の余地があると考えていて、アプリを通してサイトを閲覧することで、より見やすく使いやすくなるというものでした。こういったアプリやブラウザの拡張機能など、色々なプロダクトを作りました。
——プロダクトを作る上で大事にした考え、原動力はありますか。
A:なるべく実用的なものを作るようにしていました。実用性が高いものだと身近な人が使ってくれる機会も増えますし、感想やフィードバックがもらえることも多く、モチベーションになるからです。
——プロダクト開発をしていくうちに、ソフトウェアエンジニアとしての志向性に変化はありましたか。
A:根本は人が便利になるようなプロダクトを作ることにやりがいを感じていたので、大きくは変わっていません。はじめは仲間内で使うものを作っていたのが、次第に多くの人に使ってもらえるものを作るように変化していったので、影響範囲が広がり、徐々に高度化していくことの面白さは感じていました。
将来的にやりたいことも、同じ方向性かなと今は考えています。
——専攻していた学問と、独自にやっていたプログラミングが交わることはあったのでしょうか。
A:私の場合は大学や大学院での研究と、サークルなどで行っていたプログラミング、プロダクト開発を完全に分けて考えていたので、それが一致するようなことはなかったです。
ただし、実験の中でソフトウェアを使ったシミュレーションを行ったり、プログラミングを活用したりといったことはしていました。
自分の研究を効率よく進めるために、プログラミング技術を生かしていたというイメージです。
——なるほど、軸を分けて考えていたのですね。
A:はい。学校で学んでいた応用科学系の専攻については、単純に面白かったからその道を選びました。周囲は物理や化学の延長上で研究者を目指す人が多いので、私は少し特殊だったとは思います。
早めから行動し、長期インターンを経験するのが就活成功の近道
——就職について、専攻の道に進むことは考えなかったのですか。
A:もともと、キャリアのための研究とは考えていなかったので、専攻を生かした就職活動はしませんでした。サークルや個人で、より仕事をイメージしやすいアプリ開発などをしていたので、早くからソフトウェアエンジニアで就職することは決めていました。
——ソフトウェアエンジニアで就職活動をするにあたって、大事にしたことは何ですか。
A:会社の事業内容にはそこまでこだわりは持っていませんでしたが、最新の技術を活用している会社や、エンジニアチームが社外に発信しているかどうかには関心がありました。そういう情報をつかむために、テックブログなどは積極的にチェックするようにしていました。
——技術系の発信では、特にどの部分を見ていましたか。
A:社内で勉強会を実施しているようなところは興味を持ちやすかったです。他には、その会社が提供しているサービスで、どんな技術を使っているのかについてですね。
こういった情報を見ると、その会社でどうのようにキャリアを積めるのかがわかりやすいですし、技術についてのイメージも持ちやすいので。たとえ自分が使ったことのない技術であったとしても、先進的なことに挑戦していることがわかると、エンジニアとして働く姿がイメージできて良いと感じました。
——その上で、応募先はどうのように決めたんでしょうか。
A:逆求人やスカウトを受けるサービスを複数登録していて、そこで声をかけてくれた会社を受けていました。
外資系Big Techや、日系のメガベンチャー企業にも興味はあったのですが、私はエンジニアリングをほぼ独学で学んでいた状態だったこともあり、ハードルが高く感じて受けませんでした。
——どんな部分でハードルを感じましたか。
A:Big Techに関しては、私の習得しているスキル面で不十分だと感じました。例えばフロントエンドの経験はあったものの、OSの開発やインフラの知識がなかった感じです。この面で難しいと感じて受けませんでした。
メガベンチャーについては、メルカリなど長期インターンが選考に組み込まれていることがハードルでした。実際にメルカリの長期インターンに応募しましたが、通りませんでした。2週間とかの短期インターンについては個人開発経験であっても比較的通りやすい印象なのですが、これが長期になるとインターンに受かるためのインターン実績が必要になるようなイメージです。この部分で躓いてしまった感じです。
——ご自身の専攻が情報系じゃない点については、どんな影響がありましたか。
A:当たり前ですが、周囲は情報系の学部で学部、修士と経験を積んできた人がほとんどでした。面接では、毎回のように「どうしてソフトウェアエンジニア職を受けているのか?」というようなことは聞かれましたし。ただ、この部分については自分の取り組みをしっかり説明することで理解を得られることがほとんどだったと思います。
サークルや個人開発でどんなことをやっていたのか、何を大事にしていたのかを話しました。専攻が違うからこそ、そういう中で積極性は見てもらえたのではないかと思います。
——自身の就活を振り返って、これから就活をする人にアドバイスを聞かせてください。
A:まず、自分がやれて良かった部分ですが、作ったプロダクトやサービスについては、しっかりリリースして受ける会社の人に見てもらえる状態で用意しておくのが良いと思います。プロダクトが世に出ていることで説得力が増しますし、評価もしてもらいやすいからです。
次に反省の部分については、長期インターンに参加しておくべきだったということですね。参加を考えるならば、修士1年からだと動き出しが遅かったです。例えば学部2年くらいの時期であれば、ポートフォリオサイトなどで自分の開発経験をアピールした上で、数年単位で働けたのではないかと思います。
長期でインターンを経験できれば、それが選考につながるだけではなく、ソフトウェアエンジニアとしても様々な経験が積めるのではないでしょうか。
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