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時価総額でAmazonを抜いたNVIDIAを筆頭として、新たに熊本に生産工場を置いたTSMCや北海道で工場建設を進めるラピダスなど、半導体関連企業の名前をニュースで頻繁に見かけるようになりました。各国政府がしのぎを削る半導体企業の誘致政策や生成AIといった先端技術開発を背景に半導体業界が注目されています。
すでに成長業界として話題になっている半導体業界ですが、業界の売上高は成長傾向で今後も半導体の需要はさらに拡大すると期待されています。
そんな半導体業界への就職を目指す学生は多いものの、半導体メーカーのほとんどがBtoBのため、どんなメーカーがあるのか知らない学生の方も多いと思います。
この記事では、世界/国内の半導体メーカーの売上高ランキング、国内半導体メーカーの平均年収ランキング、半導体業界の現状と将来性、就職を検討する場合の優良企業の見分け方について解説します。
どのメーカーを志望するのかを決めるための判断材料としてご活用ください。
目次
半導体業界について
半導体とは、電気を通す金属などの導体と、電気を通さないゴムなどの絶縁体の中間の性質を持つ物質のことです。
本来はこのような物質のことを指しますが、最近では半導体を用いた電子部品や、それらを集積したIC(集積回路)やLSI(大規模集積回路)などを指すこともあります。
半導体には様々な用途があり、パソコンのCPUやスマートフォン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、LEDなど身近な電子機器のパーツとして活用されていて、今後も活用の幅が広がっていくと予測されています。
半導体業界とは、私たちの社会の発展には欠かせない半導体の設計から販売まで携わる業界です。
半導体業界は半導体を製造する「半導体メーカー」、半導体の基盤材料を製造するための装置を製造する「半導体製造装置メーカー」、半導体メーカーから半導体を仕入れ、産業メーカーをはじめとする顧客に販売する「半導体商社」の3つに分類されます。
半導体業界の現状と将来性
2022年頃から続く世界規模でのインフレや利上げが起因となり2023年における世界の半導体市場はマイナス成長となっていましたが、生成AIをはじめとする先端技術への需要拡大を背景に2024年には二桁成長及び過去最高規模になると予想されています。
出典:WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)秋季市場予測
上図を見ると、世界全体における半導体売上は過去数年にわたり堅調に伸びていることが分かります。2022年に過去最高の売上を達成したものの、先述の理由から2023年には売上高の落ち込みが見られました。一方、2024年には再び過去最高の売上となることが予想されています。WSTSによれば、生成AIへの需要及び景気回復への期待により電子機器全般への需要が拡大すると見込まれているのがその理由です。
今後も生成AI関連分野の成長や各国が行う先端技術保護政策を背景として半導体の需要はさらに拡大すると期待されています。
一方で、日本は半導体業界で徐々に競争力を失いつつありましたが、2010年に三菱電機・日立製作所・NECの半導体事業が統合した半導体専業企業「ルネサスエレクトロニクス」が発足したり、2019年には東芝メモリから「キオクシア」に社名を変更し東芝グループから分離独立させるなど、総合電機メーカーの合従連衡や半導体部門の分離独立による業界再編が進展しています。
半導体メーカー売上高ランキング
今後ますます売上高の増加が期待される半導体業界ですが、どういったメーカーが売上高のシェアを占めているのでしょうか。
ここでは、世界で見たときの半導体メーカー売上高ランキングと、日本国内で見たときの半導体メーカー売上高ランキングをご紹介します。
世界の半導体メーカー売上高ランキング
順位 | 企業名 | 2023年の売上高 (百万ドル) |
---|---|---|
1 | Intel | 51,197 |
2 | NVIDIA | 49,161 |
3 | Samusung Electronics | 44,374 |
4 | Qualcomm | 30,913 |
5 | Broadcom Limited | 28,427 |
6 | SK Hynix | 23,680 |
7 | Advanced Micro Devices (AMD) | 22,408 |
8 | Apple | 18,635 |
9 | Infineon Technologies | 17,294 |
10 | STMIcroelectoronics | 17,286 |
出典:New Omdia Research Reveals 2023 Semiconductor Market Revenue down 9% from 2022
上表は、英国に本拠を置きハイテク分野の市場調査を行っているOmdiaが発表した、2023年の世界の半導体企業売上高ランキングトップ10です。
これまでは1位のインテル(アメリカ)と3位のサムスン電子(韓国)の二強だった半導体業界でしたが、2023年にはNVIDIAが急激な成長によりサムスンを上回る売上を記録しました。現在では、パソコンのCPU事業を柱とし、およそ80%の世界シェアを占めるインテル、メモリ事業を柱とするサムスン電子、成長の著しいAI領域で独占的な地位を占めるNVIDIAの3社が売上高で他社を引き離す形になっています。
また、トップ10を国・地域別に見てみると、米国が6社、韓国・ドイツ・スイスがそれぞれ1社となっており、日本勢はトップ10のランク外となっています。ですが、20位まで広げて見てみると16位にルネサス エレクトロニクス、17位にソニー、20位にキオクシアと3企業がランクインしています。
国内半導体メーカー売上高ランキング
順位 | 企業名 | 2022-2023年の売上高 (億円) |
---|---|---|
1 | ルネサスエレクトロニクス | 15,008 |
2 | ソニー | 13,014 |
3 | キオクシアHD | 12,821 |
4 | 東芝 | 7,918 |
5 | ローム | 5,078 |
6 | 三菱電機 | 2,815 |
7 | サンケン電気 | 2,253 |
8 | 富士電機 | 2,015 |
9 | ソシオネクスト | 1,927 |
10 | メガチップス | 707 |
上表は、業界動向サーチがまとめた、2022-2023年の国内半導体企業売上高ランキングトップ10です。
1位のルネサスエレクトロニクスと2位のソニー、3位のキオクシアは、世界の半導体企業売上高ランキングでも20位以内にランクインしていることから、総合電機メーカーの合従連衡や半導体部門の分離独立による業界再編が成功しており、世界と戦える競争力が高まっているといえます。
ルネサスエレクトロニクスは車載向けマイコンで世界トップシェアを有しており、キオクシアはフラッシュメモリ市場において約20%(世界2位)のシェアを占めることが特徴です。
なお、上位3社(ルネサスエレクトロニクス、ソニー、キオクシア)だけで、国内半導体業界全体の60%以上のシェアを有しており、東芝、三菱電機、サンケン電気、富士電機などは生き残りをかけてパワー半導体に注力する動きを見せています。
国内半導体メーカー平均年収ランキング
順位 | 企業名 | 平均年収 (万円) |
---|---|---|
1 | レーザーテック | 1379 |
2 | 東京エレクトロン | 1285 |
3 | ディスコ | 1140 |
4 | ローツェ | 1122 |
5 | ソニーグループ | 1084 |
6 | アドバンテスト | 1019 |
7 | 栗田工芸 | 909 |
8 | フジミインコーポレーテッド | 897 |
9 | 東芝 | 892 |
10 | 高砂熱学工業 | 889 |
11 | ルネサスエレクトロニクス | 882 |
12 | 東京エレクトロンデバイス | 872 |
13 | 東京応化工業 | 859 |
14 | 信越化学工業 | 855 |
15 | トーメンデバイス | 851 |
16 | ニコン | 812 |
17 | 三菱電機 | 806 |
18 | トレックス・セミコンダクター | 791 |
19 | ローム | 789 |
20 | 東ソー | 786 |
21 | 住友電気工業 | 785 |
22 | 加賀電子 | 780 |
23 | 日本高純度化学 | 779 |
24 | 大日本印刷 | 767 |
25 | ダイフク | 767 |
26 | QDレーザ | 763 |
27 | 巴工業 | 761 |
28 | 富士電機 | 759 |
29 | 荏原製作所 | 757 |
30 | ダイトロン | 756 |
出典:東洋経済オンライン「平均年収「全国トップ500社」最新ランキング」
上表は東洋経済オンラインで紹介されている「平均年収「全国トップ500社」最新ランキング」で紹介されている500社の中から半導体に関連する企業の平均年収を抽出したものです。
※上表は東洋経済オンラインの独自調査によるもので、調査方法の違いから売上高ランキングの企業がランクインしていない場合があります。参考までに確認してください
東洋経済オンラインのランキングの中でも、レーザーテック12位、東京エレクトロン15位、ディスコ28位にランクインするなど半導体業界は年収が高い傾向にあります。
これは、半導体業界の売上高が増加傾向にあり今後の半導体需要の拡大も見込まれていることから、業界として景気が良いことが理由の一つとして挙げられます。また、業界的に専門的知識が必要であるため、企業としても優秀な人材を確保するために年収を高く設定している傾向が強いと考えられます。
半導体メーカーに就職するためには
半導体業界への就職を志望するのであれば、どの企業を志望するのかを決めていくために、企業ごとの特徴や強みなどを調べる必要があります。
ここでは、半導体業界における優良企業の見分け方と、大学での専攻内容との関係性について解説します。
優良企業の見分け方
半導体業界で優良企業を見分けるためには、以下の3つがポイントになります。
・売上高が高く、平均年収が高い
・高いシェアを有する製品や技術がある
・社員による自社評価が高い
売上高と平均年収が高いということは、業績が良く利益を社員に還元しているとみることができますので、この記事で紹介しているデータも参考にしながら調べるようにしましょう。また、高いシェアを有する製品や技術があるのかも併せて調べるようにしましょう。高いシェアを有する製品や技術があれば、企業としての将来性があるとみることができますし、企業の強みを理解することにもつながります。
そして、その企業の社員が自社をどのように評価しているのかを確認することも重要です。データだけでは分からない、その企業の風通しの良さや人事評価の適正感を知ることで、社員が働きやすい環境があるといえるのかの判断材料になります。
大学での専攻内容
半導体メーカーの採用は他のメーカーと同じく、技術系職種では理系の学生を採用、事務系職種では文系の学生を採用する傾向にあります。また、技術系職種・事務系職種ともに学部や学科を問わない傾向が強いです。
キオクシアを例に技術系職種の募集要項を見てみると、募集学科は「理工系全学部・学科」となっており、学部や学科、専攻内容は問われていないです。
ですので、半導体メーカーへの就職を志望する場合は学部や学科、専攻内容を気にする必要はなさそうです。ただし、工学部の電気系学科は半導体メーカーの事業内容に直結しやすい専攻内容ですので、研究内容などをアピールしやすいといえます。
ここまで、半導体業界の現状と将来性、半導体メーカーの売上高ランキング・平均年収ランキング、優良企業の見分け方について解説してきました。売上高や平均年収などの定量データと、社員による自社評価などの定性データの両方を見ながら優良企業を見分けられるようになりましょう。
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