目次
総合広告代理店のアイデア課題にどう対応する?
このコラムを読んでくださっている方は、電通・博報堂・ADKをはじめとする総合広告代理店のうち、2パターンにあてはまるかと思います。
②本選考に応募予定で、GDに出題されるお題の考え方を知りたい人
実際に総合広告代理店の選考では、クリエイティブ・プランニング課題(以下、アイデア課題と記載します)がほとんどの会社で課せられます。
選考のうちどのフェーズで課されるかは、インターン選考と本選考で異なります。
インターン選考の場合
電通・博報堂・ADK3社全てでエントリーシート(ES)に課され、電通・博報堂ではインターン選考の面接においてESで提出したアイデア課題について質問されます。
本選考の場合
電通・博報堂・ADKともにグループディスカッション(GD)のお題として課されます。また博報堂ではGD後の筆記試験(プランニング課題)で課され、最終面接でその内容について質問されます。
インターン選考でも本選考でも、広告代理店の選考ではアイデア課題を受けずに、内定を獲得することはできません。では実際に、総合広告代理店の選考で出題されるアイデア課題はどのようなものなのでしょうか?
総合広告代理店のアイデア課題の具体例を見てみよう
ここでは、総合広告代理店の選考で実際に出題されたアイデア課題をご紹介します。なお今回ご紹介する課題は、各社の採用HPで公開されている課題や外資就活に寄せられた 選考体験記から抜粋しています。
・「私だけが気づいていること」をテーマに400字以内の文章を書いてください。
・「亀」を人気にするアイデアを考えてください。
・誰かの困りごとを解決する新しい「自販機」を考えてください。
・2030年。ある小学校で採用された「科目」が世界中で話題に。その「科目名」と「授業内容」を考えてください。
・私は、町の本屋を30年経営してきましたが、ネット通販に負けてこのままでは閉店の危機です。アイデアと企画の力で”日本一話題の本屋”を目指し、一発逆転を狙いたいと考えています。なんでも挑戦してみようと思うので、話題になるためのアイデアを考えてください。
・あなたが熱狂しているモノやコトを、知らない人・興味がない人たちにその素晴らしさを伝えるアイデアを考えてください。
「Z世代」「コロナ世代」「ゆとり世代」など、同じ特徴を持つ世代を表現して「○○世代」と言うことがあります。
問1. あなたの世代を表すならどんな「○○世代」になりますか?世の中で既に表現されているものではなく、あなたならではの考えを教えてください。
問2. あなたならではの気づきや見立てを踏まえて、問1.で回答した「○○世代」を、詳しく説明してください。
問3. 問1.で回答した「○○世代」の潜在的なニーズをとらえると、その世代に対してヒットするビジネスやサービス・商品はどんなものだと思いますか?
例)てまえどり世代、ネタバレ世代、倍速世代、ノー財布世代、ノマド世代、分人世代、6ポケット世代、親が親友世代
・エスカレーターの「片側空け」をなくすためのアイデアを考えてください。
・マッチングアプリが、両親や家族にも理解され、もっと利用されるようになるためのアイデアを考えてください。
電通・博報堂・ADKのインターン選考の課題を例にあげて、アイデア課題をご紹介しましたが、これらの課題を見て「どのようなポイントが見られているのだろう?」「どのようにアイデアを考えればいいのだろう?」と思った方も多いのではないでしょうか?
次節では、アイデア課題で見られるポイントやアイデアの考え方をご紹介します。
総合広告代理店のアイデア課題の考え方
ここでは、広告代理店のアイデア課題の考え方について、選考で課題を課せられる理由と選考で見られているポイントと併せてご紹介します。
アイデア課題で見られているポイントとは?
アイデア課題が総合広告代理店の選考で課されるのはなぜでしょうか?
外資就活相談室で回答者を引き受けていただいている広告会社勤務の社会人の方によると、アイデア課題には、お題に対してこれまでの人生で培った経験や知識を総動員してどれだけ真剣に向き合ったかを知ること、そしてアイデアに行き着いた思考プロセスを通じてその方の人となりや価値観を知ることがその狙いとしてあるとのことです。
このことを念頭にアイデア課題に取り組んでみてください。
また詳しい質問と回答内容は、以下の質問文をクリックしていただくことで見ることができますので、アイデア課題の出題意図を詳しく知りたい方はぜひご参照ください。
【質問】
H志望の23卒です。インターンの選考で自分のアイデアに関するお題が提示され、面接ではアイデアに関する質問がされると思うのですが、各フェーズではどのような点が見られているのでしょうか?
アイデア課題の考え方
では、実際にアイデア課題はどのように取り組めばよいのでしょうか?
筆者は次の4STEPで考えるようにしていました。
Step2:ターゲットの欲求を考える
Step3:アイデアのコンセプトを考える
Step4:アイデアを世の中に浸透させる方法を考える
アイデア課題というと、いきなりアイデアを考えるかのように思われがちですが、Step1~2のように、アイデアを実現する対象となるターゲットを決めるのが先です。ターゲットを決めないと、みなさんが提案するアイデアがお題を解決する効果的なものなのかが見えてこないためです。またターゲットを決めることで、そのターゲットの持つ欲求・ニーズに焦点を当てて深堀ができるため、より効果的なアイデアを立案することに繋がります。
Step1:ターゲットは誰かを考える
まずStep1では、筆者は「STP」というフレームワークを使っていました。STPとは、セグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(狙う市場の決定)、ポジショニング(市場での立ち位置の明確化)のことを言います。このフレームワークを用いることで、「どんな市場で、誰に、自社の製品・サービスをどう思われたいか」を明確にできます。
セグメンテーションやターゲティングを定義する際の切り口は、上の画像のように、性別や年齢といった人口統計的要素や「夕食後テレビを観ている時」といった行動変数など様々ありますが、「扱うお題について一番よく頭に思い浮かべている生活者は誰か?」という観点で、設定するとうまく行くことが多いです。筆者はStep2,3のことも踏まえ、時・行動ベースで設定することが多かったです。
Step2:ターゲットの欲求を考える
Step2では、ターゲットの立場になり切って考えるとより深く洞察できると思います。Step1において、筆者はターゲットを「時・行動ベース」で設定するようにしていたとお伝えしましたが、その理由は、自分がそのターゲットに該当する場合が多くなるため、自分の気持ちからターゲットの欲求を深掘りしやすくなるためです。これによって、Step3のコンセプトがより明確なものになります。
Step3:アイデアのコンセプトを考える
Step3に取り組む際、STPの「P(ポジショニング)」を明確にする必要があります。ポジショニングとは、Step1で定義したターゲットに対して、自社の製品・サービスをどう思われたいかを定義することを指します。ポジショニングを定義する時は、同様の他社製品・サービスに対する生活者の印象を明確にし、その印象とStep2で明確にした生活者の欲求を踏まえた上で、自社の製品・サービスをどう思われたいかを考える必要があります。なぜならば、ここで明確にしたポジショニングがそのまま、アイデアを広げるコンセプトになるからです。
Step4:アイデアを世の中に浸透させる方法を考える
最後にStep4ですが、カスタマージャーニーを用いて考えると良いでしょう。カスタマージャーニーとは、生活者が商品・サービスを購入・利用するまでの道筋を表します。カスタマージャーニーを用いることで、生活者がサービスの利用・購入に至るまでどのようなプロセスを踏むかを可視化することができます。ただし、画像に書いたフェーズは一例であり、扱うお題や商材によって生活者が経るプロセスは変化するので、お題や商材に柔軟に合わせるようにしましょう。
そして、そのプロセスにおいて感じる欲求やサービスとの接点が明確になるため、各プロセスでどのような施策をするべきか整理しやすくなり、提案するアイデアにより具体性を持たせることが可能になります。
ここまで、アイデア課題への取り組み方の一例を提示してきました。みなさんもこの方法を参考にぜひ1度アイデア課題に取り組んでみてください。
アイデア課題の対策をする上で役に立つ書籍
ここでは、アイデア課題の対策をする上で役立った書籍について、内定者目線でご紹介します。
各書籍については内容だけでなく、内定者がどう生かしたかも合わせてご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。
『広告ビジネスは変われるか? テクノロジー・マーケティング・メディアのこれから』
『広告ビジネスは変われるか? テクノロジー・マーケティング・メディアのこれから』では、海外の広告ビジネスの潮流やGAFAなどのプラットフォーマーの動き、日本の広告ビジネスの成り立ちを踏まえ、広告産業が生き残るために必要なビジネスモデルの変革の方向性について述べられています。
クリエイティブ課題に回答する際、内定者は自身を広告会社の人間と定義した上で、本書に書かれた広告ビジネスの現状を踏まえ、打ち手となるアイデアに具体性を持たせたとのことです。
『生活者モード戦略ー変貌する生活者の欲求を捕え、DX時代の事業を設計する』
『生活者モード戦略ー変貌する生活者の欲求を捕え、DX時代の事業を設計する』では、従来生活者の「インサイト」と呼ばれていた欲求は、5G、IoT、AI、AR/VRといった「つながるテクノロジー」の発展によって「生活者・物・情報のつながり」から生じている中で、生活者自身も気づいていない欲求を「生活者モード」と定義し、生活者モードを捕えるための事業やマーケティングの戦略策定の方法論を提示しています。
内定者は、この本の内容をターゲットの選定に生かしていたとのことです。具体的には、ターゲットを、「性別」や「年齢」などの属性に縛られずに、「どのような行動や心情を抱いている時か」という時ベースで設定することも視野にクリエイティブ課題に取り組んでいたとのことです。
『ビジネスモデル2.0図鑑』
『ビジネスモデル2.0図鑑』では、うまくいっているビジネスモデルについて、全て同じフォーマットで比べながら、その共通点やビジネスが上手くいっている仕組みを学べるようになっています。
内定者は、本書で紹介されているビジネスに新しいものを組み合わせられないかとアイデアを考える練習をしたり、ビジネスモデルの書き方を勉強することに活用していたとのことです。
広告代理店のアイデア課題を対策しよう
いかがだったでしょうか?
総合広告代理店のアイデア課題を難しいと思う方は多いと思います。
ただしっかりと考え方を抑えることができれば、案外対策は容易になります。
ただし、アイデア課題の基本は、「日頃から様々な物事にアンテナを張っておく」です。アウトプットだけでは良質なアイデアは出てこず、日々の生活の中で感じた気づきや違和感を言語化する習慣を身につけておくことで初めて、良質なアイデアが出てきます。すなわち、アウトプットだけでなくインプットの時間も大切だということです。
ぜひ本コラムを参考に、総合広告代理店のアイデア課題に取り組んでみてください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
マッキンゼー ゴールドマン 三菱商事
P&G アクセンチュア
内定攻略 会員限定公開
トップ企業内定者が利用する外資就活ドットコム
もっと記事を読む
マッキンゼー BCG ベイン・アンド・カンパニー アクセンチュア 等の内定攻略記事を会員限定に公開しています