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「カッコいい」「スキルを得られそう」といったイメージが強く、学生の就職先として人気なコンサルティング業界。ただ、そのコンサル業界からIT系の事業会社に移りデータサイエンティストとして活躍する大岡勇太さんは、「“テクノロジー”という言葉を聞いて少しでも心がときめく人なら、ファーストキャリアでITを選んでいいのでは」と、自身の経験を踏まえて説く。
理系院卒の20代で「先端技術や研究がとにかく好き」と自らを評す大岡さんは、なぜコンサルからITに身を移したのか。現所属先のGMOインターネットでは何を担い、どんなやりがいを得ているのか―。「1つでもやりたいことがあるなら、『とりコン(=とりあえずコンサル就職)』はやめたほうがいい」とも語る彼の経験談は、学生にとって参考になるはずだ。
※内容や肩書は2022年5月の記事公開当時のものです。
新卒では「カッコよさそう」とコンサルへ。IT系に移ったのは、「もっと“深い”技術に触れたかったから」
――理工系の修士課程を修めた後、コンサルティング企業に就職したそうですね。
大岡:はい。就職活動をしていた当時、志望業界が明確にあったわけではなく、なんとなくカッコよさそうに見えたのがコンサルでした。一方職種については、大学で物理系の研究をしており、理系らしさを残しつつ働けるのはデータ分析関連の職ではないかと考えていました。「カッコよさそう」と「データ分析をやりたい」の掛け算で、コンサル業界が視野に入ってきた感じです。
――入社したコンサルティング企業では、どのような業務に従事したのですか。
大岡:金融、小売り、製造といった業界のクライアントに対して、データ分析を通じた会計監査やマーケティングの支援を主に行っていました。
――就活をしていた時のイメージに近い仕事内容でしたか。
大岡:議事録や提案資料の作成といったいわゆるクライアントワークを通じて、「これぞまさにコンサル」という経験を積ませてもらいました。カッコよさという点では、イメージに近かったと思います。
ただデータ分析については、想定していた内容と少し違うことが、だんだん分かっていきました。
――転職活動しようと思ったのはそのためですか。
大岡:そうですね。もう少しデータ分析の深い部分に携わりたかったんです。コンサルティング企業では、ビッグデータを扱うことや高度なデータ分析は必要ないことが多かったですから。なので、より積極的にデータを活用するIT系の事業会社に絞って、転職活動をしました。
――その中でGMOインターネットを選んだ理由は何ですか。
大岡:選考の過程で、今所属しているグループ研究開発本部のメンバーと話す機会があり、自分と同じような先端技術やデータに関心を持つ人たちの存在を知ったのが大きかったですね。コンサルや公的な研究機関の出身者もいれば、海外で博士研究員をしていた人などもいる。高い研究力や解析スキルを持ち、データ分析や研究の価値を分かってくれる人たちと一緒に働けるのは魅力でした。
それから、データに“埋もれながら”働けるのも決め手の一つでした。GMOインターネットは、100以上のグループ会社を持つ総合インターネットグループです。ネットインフラ、広告、金融、暗号資産など事業が多岐にわたり、データが豊富で活用の仕方もバラエティーに富みます。
ある意味“困るほど”データがあるのは、データサイエンティストとして働く上で最高の環境です。
データに向き合う時間はコンサル時代の3~5倍、「技術・研究が好きなら飛び込んできたほうがいい」
――コンサルからTech系の企業に移ってみて、違いをどう感じましたか。
大岡:前職では、自分はテクノロジーに明るい方だと思っていましたが、今の職場に移ってからまだまだ成長の余地があると感じられたのは大きな気づきでした。
まず、事業の基盤であるインターネットの基礎知識について、キャッチアップが必要でしたね。それから、前職では技術的な仕事というとデータ分析用にPythonのコードを書くくらいでしたが、今はAWS(アマゾン ウェブ サービス)、GCP(グーグル クラウド プラットフォーム)といったクラウドサービスや各種開発ツールも頻繁に扱います。サービスがどういう仕組みで動いているかなども含め、学ぶべきことはたくさんあります。
――そのほか、コンサル時代と比較して違いを感じるのはどんな点ですか。
大岡:データ分析やテクノロジーに対するマインドセットです。コンサル業界だと「データ分析は手段の一つ」という考え方が強いので、「それ意味あるの?」「クライアントにとっての価値になるの?」といった議論の末、データ分析を用いないという結論に至ることも、少なくありませんでした。
一方、今の職場では「データを基に意思決定するのは当たり前」という“土俵”に皆が立った上で、「実際に何をするか」が活発に議論されます。データの価値や技術の重要性に関する認識が共有されているのは、個人的に働きやすいです。
――データに向き合う時間も増えそうですね。
大岡:コンサル時代と比べると3~5倍に増えたと思います。それに伴って、アウトプットの量と質も向上しています。
――少し意地悪な質問かもしれませんが、ファーストキャリアはコンサルではなく、現職のほうがよかったと感じますか。
大岡:どうでしょう。コンサルでの経験もそれなりに有意義だったので断定はできないですが、もしかしたらそうかもしれません。正直、転職後に「コンサルで働いた3年分、ビハインドしたかもしれない」と感じてしまいましたし……。少なくとも、僕のように技術・研究に少しでも関心がある学生なら、コンサルよりTech系の企業がフィットするのは確かだと思います。
それはTech企業の方が、先端技術やデータ分析に精通する人が多くいて、技術面ではコンサルティング企業より“当たり前”の水準がかなり高いからです。技術者としてはコンサルで過ごすより成長できるし、より世界基準に近い環境があります。
実際に2つの業界を経験した社会人の意見として、これは学生の方々に伝えておきたいですね。
――最近は「とりコン」という言葉がはやるくらい、やりたいことが定まらない学生がコンサルを志望する傾向があります。
大岡:僕もまさに、とりコンだったんだと思います。本当に自分が何をしたいのか分からないのであれば、とりコンも一つの選択肢なのかもしれません。ただ、テクノロジーに少しでも興味があるのなら、Tech系の企業に飛び込んでほしいですね。
PDCAのあらゆるフェーズに関与―。データサイエンティストとして担うのは、意思決定を左右する重い役目
――現在関わっているプロジェクトについて、教えてください。
大岡:フリーWi-Fiへ自動接続できるアプリ「タウンWiFi byGMO」のプロジェクトに1年ほど前から携わっています。仕事の幅はかなり広くて、PDCAのあらゆるフェーズに関わります。
例えばデータに基づくプロダクト改善の計画策定や、効果検証などですね。それらに付随して、ABテストの設計、データの加工などにも携わります。
――効果検証は特に、データ分析が生きる機会が多そうですね。
大岡:そうですね。例えば、新機能をトライアル的に実装して効果を推定するケースは、結構あります。
トライアル期間中に得られるデータは、たいていアプリをよく使う常連ユーザーのものなので、少なからずバイアスがかかっています。
そのバイアスを取り除き、一般ユーザー全体に適応した時の効果を検証するために、統計的因果推論の手法を用いた分析を行ったりします。必要に応じて、基礎研究で得られた知見も利用します。仕事というよりも、新しい実験に取り組むような感覚で楽しいですね。
――業務を進める上で、難しいと感じるのはどんなことですか。
大岡:データ分析の結果をビジネスメンバーにどうやって適切に理解してもらい、意思決定につなげてもらうかには腐心します。例えば、ある施策で3%数値が改善するという予測結果が出たとしても、限られた期間のデータで予測するので、あらゆる条件下で100%そうなるとは限りません。
一方ビジネスメンバーは、そうした分析結果を基に「やる」か「やらない」かを決めなければいけません。それゆえの難しさやプレッシャーはありますね。
――責任は重いですね。
大岡:はい。時には、せっかく開発メンバーが作った新しい機能について「効果が見込めないのでリリースは難しい」という結論に導くこともあります。でも逆に、それくらい責任が重くないとデータ分析の意義がないのかな、とも思います。
大企業だけどベンチャーのGMOインターネット。“Tech先進国”の事例が身近な、国際色も魅力
――学生に伝えたいGMOインターネットの魅力は何ですか。
大岡:機械学習・AI(人工知能)などの先端技術を、どんどん取り入れる文化があることですね。そして、既に触れましたが、技術面で“当たり前”のレベルは相当高いと思います。
グループ研究開発本部の話でいうと、データサイエンティストやエンジニアなど30人ほどが在籍する中、10人近くは外国籍なのも特徴です。中国などデータ活用が盛んな国の事例を直接聞く機会がある環境は、技術者として恵まれていると思います。
基礎研究もグループ研究開発本部のミッションの一つなので、研究内容や技術トレンドを紹介し合う場が、週1回くらいのペースであります。プロジェクトなどで直接関わっていないメンバーとも気軽に相談し合える関係性があるのは、ありがたいです。
――「‟当たり前”のレベルが高い」というのは印象的です。その分、成長の機会に恵まれていると思いますか。
大岡:そう感じます。それに、グループ全体で見ると新たなサービスが次々と生まれているので、機会のバリエーションも増え続けていると思います。
もう一つGMOインターネットグループについて特筆すべきなのは、グループ全体の理念「スピリットベンチャー宣言」で「我々はベンチャーである」と言い切っているように、常に新しいことに挑戦する精神が浸透していることですね。規模や体制の面から見れば創業して数年のベンチャーとは大きく違いますが、ベンチャー精神を持ち続け、体現しています。その点で、インターネット黎明(れいめい)期に創業してサービス開始から25年以上が経つ企業としては、異彩を放っているのではないでしょうか。
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