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投資銀行研究の第一歩! 投資銀行の見取り図

誰もが憧れる華やかな投資銀行のイメージは“間違い”

こんにちは、外資就活 金融チームです。

数ある金融機関の中でも、上位層の学生に最も人気なのが投資銀行です。特に外資系投資銀行といえば、一等地に構える洗練されたオフィス・新聞の一面をにぎわせるような派手な案件の遂行・休日には六本木で豪遊してなお余りある高給など、多くの学生が憧れる華やかなイメージが先行します。

残念ながら、このようなイメージは基本的に間違いです。総合商社やメガバンクのオフィスの方がよほどいいところにありますし、大きな案件に何年も当たらないこともあります。休日に六本木で遊んでいればお金が余ることもありません。

高い人気を誇る割に投資銀行の業務内容をちゃんと知っている学生は多くありません。この記事を読んでいる人の中にも、学生の間で噂される漠然としたイメージをもって投資銀行をなんとなく「理解」した気になっている人がいるのではないでしょうか。

このようなイメージは、投資銀行の業務内容について詳しく知っていくうちに払拭されるはずです。

投資銀行の全体像を把握する「見取り図」

この記事では、投資銀行に興味を持つ全ての学生のために、投資銀行業界研究の第一歩となる「見取り図」を提供します

金融業界に全く馴染みのない人は、「脱・金融初心者! 2つの市場から理解する金融の見取り図」と併せて読んでください。大体の内容は理解できると思います。また既に投資銀行の業界研究を始めている人でも、この記事を通して文字通り投資銀行の全体像をより鮮明に把握できると思います。

上記の金融の見取り図で見たように、投資銀行は資金調達の仲介を起源にもつ会社ですが、現在は大きく分けて2つの業務を行っています。それは、

・プライマリー市場において企業の資金調達を仲介し
・セカンダリー市場において投資家の運用をサポートする

ことです。

前者を担うのが資本市場部投資銀行部、後者を担うのが債券部株式部です。そしてこれらの収益を上げる4部門をまとめてフロントオフィスと呼びます。

この記事では主にフロントオフィスの各部門について解説します。そのうえで、フロントオフィスの業務を支えるミドルオフィスバックオフィスにも簡単に触れます。

プライマリー・マーケットにおける資金調達業

金融の見取り図にも書いたように、投資銀行のビジネスの根源は資金調達事業です。これを担うのが資本市場部投資銀行部です。

債券・株式による資金調達の支援

最も伝統的な業務は、プライマリー・マーケットにおいて企業が発行した債券や株式を引き受けて投資家に販売する引受業務です。債券を引き受ける部を債券資本市場部(デットキャピタルマーケット・DCM)と呼び、株式を引き受ける部を株式資本市場部(エクイティキャピタルマーケット・ECM)と呼びます。また、この2つの部で資本市場部(引受部・グローバルキャピタルマーケッツ・GCM)を構成しています。

引受業務は、現在でも投資銀行の主力サービスの1つとなっています。引受額に対して一定の割合(たとえば、引受額の2%など)を引受手数料として受け取ります。

能動的な資金調達提案と買収合併事業

会社が債券や株式を発行して資金調達を行うのは事業を拡大するときです。投資銀行は会社の事業拡大を支援して資金調達の機会を増加させることで、投資銀行自体のビジネスチャンスも拡大していきます。このため、折に触れて会社を訪問して資本市場の動向や産業動向についての情報を提供するようになりました。企業への営業活動を行う部を総称してカバレッジといいます。

また、投資銀行はもともと株式の引受の専門家ですから、株式市場の動向や買収という株式取得に関するサービスとは相性も良く、M&A(買収合併)に関するアドバイザリー事業も行うようになりましたM&Aアドバイザリー部がこれを担っています。

カバレッジとM&Aアドバイザリー部を合わせて、投資銀行部(インベストメントバンキングディビジョン・IBD)を構成します。「投資銀行」というと会社全体を指しますが、「投資銀行部」というと投資銀行のなかのカバレッジとM&Aアドバイザリー部を指します。紛らわしいですが、混同しないようにしましょう。

【プライマリー・マーケットで機能する投資銀行のフロント部門】
・資本市場部…債券資本市場部と株式資本市場部で構成される。
・投資銀行部…カバレッジとM&Aアドバイザリー部で構成される。

セカンダリー・マーケットへの進出

投資銀行も会社ですから、1つの事業が成功するとほかの事業へと拡大していきます。成熟期に入ると選択と集中が行われて、従来型の資金調達事業に注力する投資銀行もあれば新たに展開した事業に注力する投資銀行も現れます。

投資銀行はもともと株式の売買などを仲介していたため、どのような株式がいくらで売れるのか、どういった人たちが購入するのか、といった知見が蓄積されていました。

機関投資家への売買提案と執行

投資銀行は蓄積した債券・株式への知見を生かし、投資家にこれらの金融商品の売買を営業し、また決定した売買を執行をするようになります。このうち顧客への営業を担当する人ををセールス、売買執行を担当する人をトレーダーといい、彼らでセールス・トレーディング部を構成します。セールス・トレーディング部は債券部と株式部にそれぞれ存在します。

高度な数学的手法をもちいて投資戦略や金融商品を考案・開発するクオンツや、特殊な金融商品の組成を行うストラクチャリングは債券部や株式部に含まれます。

「トレーダー」と「プロップトレーダー」

トレーダーという言葉を聞くと、顧客と関わらず社内でひたすら稼ぐような人をイメージする学生もいるかもしれません。

このように、投資銀行の自己資金を使って金融商品を売買する人たちを特に「プロップトレーダー」と呼びます。

市場では、成長しているのに株式を買ってもらえていない会社や、成長していないのに安定しているというだけで株式が買われている会社をよく見かけます。投資銀行はこの市場のゆがみに目をつけ、プロップトレーディング(自己資金売買業務)を始めました。これは、仲介業務をおこなっていた投資銀行が自らのリスクで取引を始めたことを意味します。

プロップトレーディングで多くの収益を稼いだ時期もありましたが、多くの投資銀行がリーマンショックで甚大な損失を被り、それ以降投資銀行の自己勘定によるトレーディングは大幅に規制されるようになりました。

「トレーダー」と「プロップトレーダー」を混同しないように注意しましょう。

機関投資家の投資判断のサポート

会社の巨大化や事業の多角化が進むにつれて、会社の成長性や安全性を判断することが難しくなっていきました。

成長性や安全性を判断できなければ投資の意思決定がしづらくなるため、会社の資金調達のしやすさに影響が生じます。資金調達が行われにくくなると投資銀行の収益が下落しますし、会社が事業を続けていくことが難しくなって経済全体も後退してしまいます。

そこで投資銀行は、事業の巨大化・多角化が進んだ会社について成長性や安全性を分析したレポートを発行するようになります。中立的な立場で会社の状態を評価することで投資の意思決定を行いやすくすることが目的です。投資が行いやすくなると資金調達がスムーズに行われるようになりますし、資金調達が活発にあれば投資銀行自体も手数料を獲得しやすくなります。

このようなレポートを執筆する部は調査部と呼ばれ、セールス・トレーディング部と同様に債券・株式部にそれぞれ存在します。

【セカンダリー・マーケットで機能する投資銀行のフロント部門】
・債券部と株式部に分かれている。
・それぞれの部は、一般的にセールス・トレーディング部・調査部で構成される。

投資銀行フロントオフィスの見取り図

以上をまとめると、フロントオフィスの全体像はこのような構造になっていることが分かります。若干の違いはありますが、ほとんどの投資銀行がこのような組織体系をとっています。※クリックで拡大できます。

この図では、多くの投資銀行で採用が行われている部門・部を青で色付けしてあります。ただし、採用の区分のしかたは投資銀行によって様々です。また部門や部の呼称も投資銀行ごとに異なります。

投資銀行の選考を受ける際には、まずは自分が受けている区分が上の図のどの部門・部にあたるかをしっかり確認しましょう。そのうえで、各部門・部がどのような仕事をしているかについてより詳細なイメージを作ってください。

ミドルオフィスとバックオフィス

フロントオフィスは、クライアントと直接関わり収益を上げる部門でした。これに対し、ミドル・バックオフィスは社内外の調整や社内インフラの整備を行っています。

社内外の調整を担うミドルオフィス

ミドルオフィスには、証券管理部門・リスク管理部門・コンプライアンス部門などがあります。

証券管理部門

証券管理部門は、トレーダーが行う受発注が適切に行われているかを確認したりとトレーダーのサポートを行う部門です。債券部の証券管理では、国債の入札において注文画面の操作などをサポートします。直接的に収益を上げるわけではありませんが、直接的に収益を上げるトレーダーのそばにいて常にサポートをしています。

リスク管理部門

リスク管理部門は、債券のトレーダーなどが一時的に保有している社債や国債に対するリスクを推定してバックアップをする部門です。わずかな時間であっても債券を保有すれば、価格変動のリスクを負うことになりますから、適切なリスク管理が必要になります。リスクが過剰になっている場合はトレーダーの購入量を減らすよう指示をするなどが主な仕事です。直接的に収益を上げるわけではありませんが、トレーダーを密接な場所でサポートする仕事になっています。

コンプライアンス・リーガル部門

コンプライアンス部門などの法律関係の部門は、社内の情報を適切に管理するほか、金融庁や日銀との間で情報をやりとりする部門です。直接的に収益を上げることはありませんが、社外の関係者と積極的なコミュニケーションが必要になります。

このほか、投資銀行部門のバンカーをサポートする部門や、アナリストが執筆したレポートを校正したり発行したりするメンバーが投資銀行のフロントオフィスの従業員を支えています。

社内のインフラを整備するバックオフィス

バックオフィスの役割は、トレーディングシステムをはじめとする社内システムの開発です。テクノロジー部門などと呼ばれることも多いです。

基本的に社外の人とは関わらず、収益を直接的に生み出すわけでもありません。常にスーツを着ているイメージのある金融業ですが(実際に常にスーツを着ていますが)、バックオフィスの従業員はポロシャツなどで出勤することもあります。

会社全体の中で各部門が担う役割をイメージしよう

いかがでしたでしょうか。

投資銀行は金融市場において様々な役割を果たしています。今回の記事で解説したことは投資銀行を目指すにあたって知るべきことのほんの一部分に過ぎません。実際間違った派手なイメージに憧れて投資銀行を目指す人の中には、途中でやるべきことの多さに気づき挫折してしまう人もいます。

そこで業界研究を始めるにあたっては、まずはそれぞれの役割を対応する部門と結び付けて、その業務内容をざっくりとつかむことをおすすめします。

そのうえで、自分が興味のある部門についてより深く知っていくとよいでしょう。

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