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ベイン出身の起業家・石川彩子さん「戦略コンサルの成長スピードは想像以上だった」

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新卒で外資系コンサルティングファームを経験したあと、起業にチャレンジするビジネスパーソンは少なくありません。今年、地域密着型サービスのプラットフォームを運営する「ミツモア」を創業した石川彩子さんもその一人です。大学卒業後、世界屈指の戦略コンサルティングファームである「ベイン・アンド・カンパニー」に入り、経営コンサルタントとして5年あまりを過ごしたあと、アメリカでMBA留学。シリコンバレーでベンチャー企業に勤務したのち、日本で起業しました。石川さんはベインでどんな体験をして、そのときの経験がいまにどう生かされているのか。じっくり話を聞きました。(取材・構成:亀松太郎、撮影:岩切卓士)

官僚かコンサルか、悩みに悩んだ

――石川さんは東大法学部の出身で、もともとは官僚志望だったそうですね。

石川:父親の仕事の関係で、小さなころから日本と中国を行き来する生活をしていました。中国がものすごい勢いで変わっていく姿を目の当たりにしていた一方で、日本はずっと同じ状態のような気がしました。このままでは、日本は何も変わらない国になってしまう。そんな危機感があったので、官僚や政治家になるキャリアパスを考えました。子どものころから「将来の夢は?」と聞かれると「官僚」と答えていたんです。

――そういう理由で、大学も選んだわけですね。

石川:官僚だから東大法学部だ、と。大学では環境省に行きたいと考え、試験も受けました。私は自己主張が強い面があったと思うんですが、そういう人間でも受け入れてくれるということでした。その一方でコンサルも受けて、こちらでも内定をいただいた。どちらも人は素晴らしかったので、本当に悩みに悩みましたが、結局、コンサルを選びました。

――なぜ、コンサルだったのでしょう?

石川:当時、ベインの東京オフィスのヘッドをしていた方とじっくり話す機会があったんですが、そのとき「成長の速度がどれくらい違うか」という話をされた。たしかに、省庁に長くいれば、すごく面白い仕事ができるんでしょうけれど、20代のうちから「どこにいっても活躍できる人材になる」いう意味では、コンサルのほうがいいのかな、と。それが一番大きな理由です。

――ベインの日本法人は少数精鋭というイメージですが、一緒に入社した同期は何人ぐらいですか?

石川:うちの代は多いほうですが、10人くらいです。いまもベインに残っている人は2、3人。それ以外の人たちは事業会社で活躍していたり、スタートアップに行っていたりという感じですね。

――ほかにも戦略コンサルの会社がありますが、ベインに入った理由はありますか。

石川:ベインの魅力は、FUN(楽しさ)を大事にするカルチャーがすごくあったことです。たとえば、グローバルのトレーニングはマイアミやプーケットといったリゾート地でやるんですが、深夜までケーススタディしたりディスカッションしたりしたあとに、外に遊びにいくんですよ。そして朝の4時に帰ってきて、しばらく寝たら、7時に起きてまたトレーニングプログラムを始める。そういうわけのわからない、熱狂的なカルチャーを作るのがうまいんですよね。

――元気な会社ですね。

石川:新入社員のトレーニングでも、部屋で待っているといきなりバーンと音楽がかかって、7、8年ベインで働いている先輩社員たちが踊りながら出てくるんですよ。まさにグローバルのFUNを体現した会社だった。入社前から話は聞いていたので、そういう若々しい「FUNカルチャー」がある会社に行きたいな、というのはありましたね。

コンサルを受けるため、特別な対策はしなかった

――就活の準備は、どれくらいの時期から始めたのでしょう?

石川:東大生って、就活の準備を始めるのが遅いんですよね。私も一般的な東大生と同じで、3年の後半からですね。「意識低い系」だったので、夏のインターンは受けませんでした。3年の夏は、サークルやバイトをやったり、旅行にいったりしていました。ダンスのサークルだったので、11月の大学祭でも踊っていました。

――それが終わって、12月くらいから就活を始めた、と。

石川:そうですね。周りが始めたので「私もそろそろやらなきゃ」と思った記憶があります。そのときは官僚になろうと思っていたので、日系企業は受けずに、それなりに興味があった外資系のコンサルだけに絞りました。

――コンサルを受けるにあたって対策はしましたか。コンサル特有のケース面接などがありますが・・・

石川:実はあまり本気で受けていなかったので、特別な対策はしませんでした。省庁に行くために国家1種試験を受けないといけなかったので、そちらの受験勉強をやっていました。

――コンサルの面接で印象的だったことはありますか?

石川:ケース面接のとき「君はあまり練習してこなかったでしょう?」と言われました。

――そんな状態で、良く受かりましたね。

石川:実はケース面接では、特定の人に有利になるような問題は出ないと思います。誰でも普通に生きていたら知っているような問題が多い。たとえば「おにぎり屋さんを開業するとしたら?」とか。そういう問題は、飲食店にお客さんとして行ったことがあれば、わかりますよね。ファストフードもよく問題になりますが、私は子どものころから、マクドナルドなどに行ったときに、「ここのオペレーション遅い! 原因はなんなの?」と分析してしまうタイプだったんです。

――ただ、ケース面接で店の売上向上策などを考えるためには、利用者の視点に加えて、経営者サイドの目線も必要ですよね。それは学生にとって、案外難しいことかもしれません。

石川:私は大学時代にいろんなバイトをしていたので、その経験が生きたのかもしれませんね。ファストフードでも働いたし、コールセンターで電話をかけまくるバイトもやりました。そのとき「もっとこうすればいいのに。こんなシフトの組み方じゃダメだ!」とよく思っていました(笑)

――コンサルの面接では、どんな人が高く評価されるのでしょう?

石川:私はベインにいたとき、新卒採用の面接官になったこともあります。そのころは、ビジネスはサイエンスが8割で、アートが2割ぐらいだと思っていたんですが、サイエンス、つまり、論理的思考ができるかどうかが重要なんですよね。つまり、目の前の問題をいくつもの要素に細かく分解して、突き詰めて考えていく力。「なぜこれはこうなんだろう?」と、しつこくしつこく考え続けるクセがあるかどうか。そういうクセがある人だったら、誰でもコンサルになれるんじゃないかと思います。

――そういうサイエンスの部分は、鍛えればなんとかなりますか?

石川:鍛えればなんとかなる部分と、向き不向きの部分があると思います。向き不向きは、話していたらわかりますね。あまり練習していないけれど、素質があるなと感じる人はいる。一方で、一生懸命練習して、なんとなく形になっているけれども、あまり向いてないのではないかという人もいる。そういう人はうまく会社に入っても、そのあとで苦労しているイメージがあります。

ファーストキャリアがコンサルで良かった

――石川さんは結局、ベインに入って、5年半ほど在籍したわけですが、どうでしたか?

石川:本当に大変でした。プロジェクトごとに大変なポイントが違っていて、苦労しました。たとえば、プロジェクトのテーマに関する情報が何もない、ということもあるんですよね。ある特殊なファイナンスの方法を調べたいのに、日本でそれについて書かれた本は1970年代の一冊だけしかないとか。あるいは、ヘルスケアのプロジェクトでは、ある疾患について、普通の医師や薬剤師よりも詳しくならないといけないこともある。特殊な分野であればあるほど、勉強が大変でした。

――プロジェクトによっては、分析のためのファクトを集めるのが大変ということもありますか?

石川:テーマによって、すごく大変なときとそこそこ大変なときがあるという感じですね。たとえば、ある薬の販売額を3、4倍にしたいというプロジェクトでは、製薬会社は「潜在患者がもっといるはずだ」と考えていました。そこで、どの段階で患者が漏れてしまっているのか、さまざまな場面を想定して分析する必要があるんですが、既存の報告書はないので、ひたすら自分でクリニックに電話して調べなければいけないんです。

――そこは、作業ですよね。

石川:作業ではありますが、結構クリエイティブな部分もあります。ちゃんと設計しないと、ちゃんとした数字になってこないので。力のかけどころを間違えると、すごく時間を使って調査したのに有効な答えが出ないという結果になってしまう。

――それだけ大変だったベインの仕事ですが、自分の成長スピードは、入社前に聞いていた通りだったのでしょうか?

石川:聞いていた以上でした。本当に大変でしたけど、ファーストキャリアがコンサルで良かったと、よく思います。

――すごく忙しかったと思うんですが、どうやって休息の時間を確保していましたか?

石川:心がけていたのは、平日は遅くてもいいから土日はなるべく休むということです。それから「終わらないプロジェクトはない」。これはコンサルの格言ですが、どんなプロジェクトでも3カ月ほどで終わるので、「終わらないプロジェクトはない」と唱え続けていましたね。

――「コンサルをやっていて良かったな」という体験は?

石川:私は、クライアントの人と話したり、クライアントのお客さんと話したりするのが、すごく好きでした。特に、地方銀行のプロジェクトをやっていたとき、地銀のお客さんである中小企業の経営者たちと話すのが大好きだった。いろいろな業種があって、工場もあれば、飲食店もある。掃除業者もあれば、工務店もある。個人事業主に近い人もいました。

――そのとき、どういうことを感じたのでしょう?

石川:第一に「本当にすごいな」という尊敬の念ですよね。サラリーマンと違って、毎月決まった給料が入ってくるわけではない。自分で仕事を取りにいかないと食べていけない。そういうヒリヒリ感を日々味わっている。自分だけでなく、従業員もなんとか食べさせなければいけないという思いの中でやっていて、素直にすごいなと思いました。

コンサルは会社に入ってからが勝負

――そのときの思いが、現在のミツモアの事業につながっているということですが、起業はもともと考えていたのでしょうか?

石川:ベインに入った時点で「将来は起業するぞ」と思っていたわけではありません。コンサルをやっているうちに、自分でやってみたいという気持ちになっていきました。ITの分野に興味があったので、MBAを取ったらシリコンバレーで就職しようと考えていました。

――シリコンバレーで働いたあとに、いよいよ日本で起業したわけですが、コンサルの経験はいまの仕事に生きていますか?

石川:ITの起業をしている人は、やはりITの分野で経験を積んできた人が多いので、ちょっと引け目に感じたりすることはあります。私自身がコードを書けるわけではないですし。ただ、一方で、コンサルをやっていて良かったなと思うこともあります。それは、どんな打ち手が一番インパクトがありそうか鼻が効くこと。短時間でリサーチする能力もそうですね。ベンチャーでは、限られたリソースと限られた情報の中で意思決定することが求められますが、その点はコンサルの仕事によく似ていますね。

――就活生の中には、ベインのような戦略コンサルティングファームに行きたいと思っている学生も数多くいます。何かメッセージはありますか?

石川:コンサルは、入ってからが勝負で、入ってからのほうが大事です。でも、乗り越えれば乗り越えた分だけ、ビジネスの世界で生きていく能力が身につくと思うので、ぜひ頑張ってほしいですね。

――コンサルに向いている性格というのは、あるんでしょうか?

石川:コンサルには、いろんな性格の人がいますね。ガツガツしている人もいれば、ひょうひょうとしていて苦を苦と思わないようなタイプもいます。社交的か内向的かという側面でも、いろんなタイプがいる。ただ、「大変なときに逃げない人」という点は共通しているかもしれません。

――学生時代に「これはやっておいたほうがいい」というアドバイスはありますか?

石川:ケース面接の勉強をするのも大事ですけど、そういうトレーニングは、ある程度やれば頭打ちになるものです。それならば、学生時代にしかできない見聞を広めるとか、教養を高めるということに時間を使ったほうがいいんじゃないかと思いますね。長い目で見たら、そのほうが人生を楽しめるんじゃないかな、と。


石川彩子(いしかわ・あやこ)東京大学法学部を卒業後、経営コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーに勤務。この際に担当した地銀のプロジェクトで、中小企業や個人事業主がいかに営業に苦労しているかを実感する。 その後、ペンシルバニア大学ウォートン校にてMBAを取得し、シリコンバレーのスタートアップZazzleに勤務。帰国後、元Yahooのエンジニアとともに「ミツモア」を創業。地域密着型サービスのプラットフォームを運営している。米国ではローカル(地域密着型)サービスの市場効率化を目指すプラットフォームが複数誕生しているが、日本ではこの分野がまだまだ成熟しておらず、先駆者としてチャレンジしていきたいと起業した。

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