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内定辞退の現場
こんにちは、外資就活 編集部です。
みなさんはオワハラという言葉をご存知でしょうか? これは「就活終われハラスメント」の略語で、早期から採用活動を実施している企業が優秀な学生を囲い込むために用いる手法を指します。具体的には、他社の内定を蹴ったらその時点で内定を出す、この企業で働く承諾書を就活中の学生に書かせることなどが挙げられます。
筆者は19卒の学生ですが、最近この単語をよく耳にします。内定辞退する際、どのようなことが現場で行われているのでしょうか。今回は実際にオワハラを受けた18卒の先輩にお話を聞いてきました。18卒の先輩らがどのようにしてオワハラに対応していたのか、内定辞退のリアルに迫ります。
Sさん
都内の某大学4年生。来年より大手人材会社で働くことになっている。就活を始めたのが大学3年生の4月あたりと比較的早期で、業界は人材、広告、商社など幅広く見ていた。
筆者
早稲田大学3年生。単位があまり取れておらず非常に危ない状態。現在は夏のインターンなどにせっせと足を運んでいるが、日程が被った際に自分がどのように辞退すればいいか、ネットなどを見てもよく分からず困った経験から本記事を書くに至った。
それでは実際にインタビューを始めます。
自分の芯をもて
――沢山の企業から内定を頂いたとのことですが、具体的にどのような業界から内定を頂いたのでしょうか?
Sさん:大手人材会社、ベンチャー、コンサル、商社など様々な企業から内定を頂きました。
――なるほど。沢山内定を頂いていて羨ましい限りです。オワハラは多くの企業で横行しているのでしょうか?
Sさん:はい。私は多くの企業でオワハラに遭いました。ある会社のケースを例に挙げましょう。
私はこの企業から内々定を頂いた後に「まだ他の企業と迷っているのでじっくり決めたい」と自分のメンターに正直に伝えました。すると当初は快く意志を汲んでくれ、さらには「期限はないからゆっくり決めていいよ!」なんて言われさえしました。
――なんと・・・学生からすれば素晴らしい企業ですね。
Sさん:そうなんです。ところがすぐにその企業は本性を出し始めました。この10日後に僕は本社に急に呼び出され、メンターに開口一番こう言われました。「実はさ、期限が今週までだから早くしてくれないかな?」と。そして「今日中に君が迷っている企業を辞退しないと内定取り消すよ?」とまで言われました。私は唖然としてしまって言葉も出ませんでした。
――そんなことが実際にあるのですね。その後Sさんはどういう対応をされたのですか?
Sさん:説教しました。「あなたが『内定を辞退するまでの期限は設けていない』というから、私はその気で他企業との段取りを組んでいた。なのにいきなり期限があると言われるのは意味が分からない。あなたも、御社も信頼できない」と。すると相手方は学生にそんなことを言われるとは思っていなかったようで「確かに自分が悪かった。ごめん」と謝ってきました。自分の就活軸を貫き通した結果ではありますがこのような内定辞退の形もある、ということをこれから就活する人に伝えたいです。
サプライズを作らない
――メンターに説教するというユニークな形でオワハラを切り抜けたのですね。内定を辞退する際にご自身が気をつけていたことがあれば教えてください。
Sさん:僕が一番気をつけていた事はサプライズを作らないことです。
――と言いますと・・・?
Sさん:すみません、唐突でしたね。説明します。僕の中でサプライズを作らない、とは自分についているメンターに対し、自分はどういう軸でこれまで就活をしてきていて、何故今A社とB社で悩んでいるのかを逐一連絡することを指します。そうすることでメンターはこの就活生がどのような意思決定フローを取ってきたのかをはっきりと認識することができるため、お互いの認識のズレがなくなります。そこのズレが無くなれば徐々に信頼関係ができるはずです。
例えば、極端な例ではありますが、「御社が第一志望です!」などと威勢よく嘘をついた数か月後、急にそこの企業の内定を辞退をするとします。当然、当時の調子のいい発言が真っ赤な嘘であったことが明らかになりますよね。その場合、お互いの信頼関係はないので気持ちのよい内定辞退はできるはずがありません。僕はその点に気をつけて、気持ちのいい内定辞退ができるようにしていました。
――なるほど。確かに企業もその就活生一人当たりに相当な費用を費やしているはずですから、その分誠意を見せるという形で返さないといけない、ということですね。
Sさん:その通りです。企業側と学生側の双方の視点が大切ということです。
オワハラ企業あるある
――オワハラ企業の特徴があれば教えてください。
Sさん:難しいですね。僕が感じた特徴としては、オワハラは大手ではない新しい企業に多い、ということですね。
――というとベンチャー企業ということですか?
Sさん:そうです。私見ですがそういった新しい企業は大手と違い、優秀な人材を安定して採れる流入口が少ない、言い換えると採用ポートフォリオを上手に組んでリスクヘッジできていないことが多々あると思います。確かに最近できた企業もインターンを実施したりするなどして試行錯誤しているのですが、大手企業に比べるとそのノウハウが確立されていないように感じました。つまり余裕がない。よって優秀と判断した人材には過度なオワハラも辞さないというスタンスを取るのでしょう。
――ベンチャー企業はオワハラが多いということでしょうか?
Sさん:投資銀行や日系大手企業などでもオワハラはあると友人からは聞きますが、私が経験したのはベンチャーばかりでした。あくまで個人の意見ですが、ベンチャーで多いことは確かだと思います。一方でベンチャーではなく、かの有名な大手損害保険会社では多くの友人がオワハラを受けたと聞きます。ですが僕はこれは例外だと思っています。というのも僕が実際に会った多くの大手企業では新卒採用に関してかなり余裕を感じましたし、過度なオワハラはされなかったからです。
SNSには要注意
――他に内定辞退にまつわるエピソードがありましたら教えてください。
Sさん:分かりました。私自身ではないですが、外資系金融機関の内定承諾書を早期に書かされていたにも関わらず、他の会社の就活を進めていた知人のMさんのお話をしましょう。Mさんはそもそもこの企業に行く気はなかったようでしたが、滑り止めとしてこの企業を“キープ”しておくおくというスタンスでした。
――そのスタンスは企業側にばれなかったんでしょうか?
Sさん:はい。彼は月に1回程の頻度でこの企業から入社の意思確認をされていたようでしたが、「私は御社が第一志望です」と言い切り、企業側から当時はばれることはなかったとのことです。
――「当時は」ということは、終盤にばれてしまったということでしょうか?
Sさん:その通りです。Mさんは結局他の企業に内定をもらって就活を終えました。よって、内定承諾書を書いた外資系金融機関にその内定承諾書を返しに行く必要に迫られたのです。そこで彼は人事部長と1対1で顔を合わせ、「内定承諾書を書いた時には本当にウチに来るつもりはあったの?」と重ねて聞かれました。対してMさんは「もちろんです」と答えたようですが、「君、他の企業の選考受けてたよね。SNSに書いてあったよ」と人事部長に言われてしまいました。なんと、その人事部長は彼のSNSを全て監視していたのでした。彼はとことん謝って何とか事なきを得た、と言っていましたが、これは運が良かったとしか言いようがありません。みなさんの反面教師になればと思います。
双方への理解
――最後に、後輩に向けたアドバイスをお願いいたします。
Sさん:繰り返しにはなりますが、やはり企業側にサプライズを作らないことが大切です。企業も採用活動に大量の資産を投入し、オワハラをするくらい本気でこの採用活動に取り組んでいます。メンターさんも各々、企業からこの人数を採用しなくてはならないというノルマも課されていることでしょう。そのあたりの事情を理解しつつ自身の目線を持ち続けること、つまり企業側と学生側の双方の視点を大事に就活することで、後腐れのない、いい就活ができるのではないでしょうか。誤解のないよう断っておきますが、ここでの双方への理解とは企業に媚びることではありませんよ。
新たな視点
いかがだったでしょうか。今回18卒の先輩に最新の、生々しい内定辞退の姿を伺いました。
最近ではオワハラをする企業が絶対悪で、学生がその被害者といった論調の記事をよく見ます。確かにそのような側面もあるのでしょうが、このSさんのように企業側と学生側の認識のズレをなくす努力をし、企業に理解を示しつつも自分の就活軸もしっかりと持つことでお互い円満な別れ方をした例もあります。この記事を通して内定辞退に関する新しい視点を学生の皆さんに持っていただければ筆者としても幸いです。
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