外資系証券会社のリサーチで初めてのイニシエーションで銘柄を選定する時、竹本さんの中で何か基準/優先順位はありましたか?(規模感、事業の将来性など)。稼げる銘柄(=大企業)を選んだ場合、カバーしているアナリストが多く、私のように経験の浅い若手が他ベテランアナリストよりも独自性のあるレポートを書くのは至難の技かなと思っております。キャリアを長期的に見て、経験を積むという意味でまずは中小型を選定して一旗あげようと思っているのですが、この点何かアドバイスをいただけないでしょうか。
この質問への回答 1件
竹本 祐也¦Takemoto, Yuya
新卒でゴールドマン・サックス投資調査部に入社。商社セクター、エンターテイメント・インターネットセクターなどを経て鉄鋼セクターのチームヘッドに。A.T.カーニーに転職後、コミュニケーション・メディア・テクノロジー業界担当マネージャーとして中期戦略立案や新規事業立案などのPJに従事。現在はデータ分析SaaSのスタートアップにて取締役CFOとして経営戦略、財務戦略、アライアンスの推進など、経営全般に尽力。
カバーする銘柄の基準は規模など一定の基準があり、カバーする銘柄は「稼げる銘柄」と決まっていましたし、部署としてのカバー数も限定的でした。
そのため
①銘柄ではなくテーマで差別化する
②カバー外まで含め周辺取材に力を入れる
の2つが選択肢かと思います。
*
①銘柄ではなくテーマで差別化する
もともと優れた切り口でのレポートを書くことを重視されていましたので、“銘柄”ではなく“テーマ”、特に新しい“変曲点”をつかまえることで差別化することが大切であるという認識でした。
例えば、ある監査法人出身の先輩は当時注目され始めていたIFRSを切り口に、レポートをたくさん書かれていました。IFRSの議論が盛り上がったり、J-GAAPとの差分が注目されるごとにネタになりますし、変化に弱いベテランへ風穴をあけるのに役立っているようでした。
僕も「もしXXがYYになったら」というような、シナリオ・プランニングのレポートを多く書くようにしていましたが、よい“変曲点”をみつけるには至りませんでした…。
②カバー外まで含め周辺取材に力を入れる
部署としてのカバー数は少ないため、他のアナリストの見ていない銘柄が多く残されているはずです。
そこで、カバーとしては大手にしぼりながら、周辺取材として、その時々でテーマ性のある銘柄についてもしっかり情報をとり、それらも絡ませながら広く業界を語るという方法があるかと思います。
こちらもある意味ではテーマ設定がすべてではありますが、テーマと絡めて話せる銘柄を増やすことが大切であるという認識です。
*
繰り返しになりますが、外資系証券会社では、厳選されたカバレッジとなる点、人員数が少ない点など、やはり日系証券との違いがあります。なのでベテランと伍するために、違いを武器にいかに変えるかを考えるしかないと思います。
僕のようなセルサイドアナリストの失敗作を、是非反面教師としていただきたいと思います。
「俺の屍を越えてゆけ!」笑
回答日:2021/03/15