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はじめに
こんにちは。筆者は戦略コンサルの内定者で理系の大学院に通っている者です。
最近、女性誌やテレビなどを見ていると理系男子がよく取り扱われているような気がします。白衣をきて、フラスコを振って実験をしているかっこいい姿(?)を思い浮かべる人もいると思います。
今回はそんな世間のイメージとは程遠い、理系院生の実態について解説していきたいと思います。
生活形態
理系院生といっても一概にまとめることができません。
大学や専攻によって理系院生の生活環境が決められるのではなく、 生活環境は研究室単位で変わってきます。 隣の研究室は、自由に来ていいのに自分の研究室は毎日来なければならない…なんてこともあります。
中でも悲惨なのが生物や化学系の研究室です。生物・化学系の研究は実験に多大な時間を要するため昼夜を問わず研究室に滞在しておかなければなりません。
私自身も、飲み会後に「今から研究室に行かなければならない」という発言によって、文系学生に驚かれてしまうことも度々です。
深夜でも温度や湿度の管理、データの測定に行かないといけません。夜中の2時の管理を忘れたために飼っていた実験用の生物が死んでいた…なんてことにもなります。
また、家に3,4日帰らないなんていうこともあります。そのため、風呂に入れない学生が研究室にたまっているせいか、研究発表前の研究室は異臭が充満しています。
(ちなみに最近の私の楽しみはお風呂に入ることです。)
そして、何より恐ろしいのは「教授の機嫌」です。
教授の日々の機嫌によって研究室ライフは劇的に変化します。機嫌がいいときは比較的、のびのびと実験や発表ができますが、機嫌が悪いときは、もう最悪です。
時には同じ部屋に長時間監禁され意味不明な説教をされるということもあります。(自分に関係なくても連帯責任で自分も巻き込まれます)
長時間監禁の話でいうと友人の研究室では、クリスマスとクリスマスイブに朝から晩までゼミ発表をさせられるそうです。よほどその教授はキリストが嫌いなのでしょうね^^;と思わずにはいられませんでした。
とにかく、気性の荒い教授のところに配属されてしまうと、教授の日々の機嫌の変化をすばやく察知しなければ生きていくことはできません。
私が作ったパワーポイントの資料を怒って床に投げつけて、それを教授自身で拾う様子を見るとなんとも切ない気持ちになることもあります。このように日々何かに脅えながら生きていくのは辛いものです。
就活事情
信じられない話かもしれませんが、いまだに教授の中には「1社受ければ十分。あとは研究しろ!」と言って就活を理由にゼミを休むことを許されない研究室もあります。そのせいで就職がなかなか決まらないなんて人も散見されます。
私の研究室には「夏休み」という概念は存在しませんが、昨年サマーインターンに参加するだけで、非常に苦労した思い出があります。外資の選考を受けるだけで、研究室から白い目で見られ、辛い思いをするのです。
また、研究職ではなく、外資系企業に就職すると教授からの風当りが非常に冷たいところもあります。メーカーの研究職が就職活動の王道として扱われるため、コンサルなどはそもそも認知されていないこともあり、教授からの理解が得られない部類の就職先になってしまいます。
私はコンサルティングファームにサマーインターンから参加し、年内には内定をいただき就職活動を終了していました。しかし、教授には内定のことを日系就活の終わる4月まで黙っておりました。
そして、研究室の友人の内定がでたころに、「日系メーカーは受けたのですが、すべて落ちてしまって(嘘)、コンサルしか決まりませんでした」などと言って教授に内定の報告を行いました。
一方、研究室によっては教授と企業に強いパイプがあるため、誰もがうらやむ大手企業に推薦であっさり入れることがあります。
就活が難航していた友人が教授に就活の相談をしにいったところ、名刺の束を渡され「この中から好きなところを選べ」と言われて面接を一回もすることなく教授の権力で内定!ということもありました。
たまに大企業に入社したOB,OGの方が卒業後に研究室にやってきますが、「社会人になってからのほうが研究室生活よりもはるかに楽になった!」「社会は想像よりもきつくなかった」などの話を聞くと、いかに研究室が大変かを実感できるものです。
このように理系院生の就活は研究室によって千差万別です。就活のみに没頭できる時間などはなく研究の片手間に就活をやらなければならないため、 タイムマネジメント力と取捨選択する力は身につくのではないかと感じます。
そして普段の研究室でストレスを感じることがある分、就職活動は楽しく感じずにはいられませんでした。 普段研究をしている人は、気分転換の意味もこめて畑違いのコンサルや投資銀行を見てみることをお勧めします。
マッキンゼー・アンド・カンパニー
ボストン コンサルティング グループ
アクセンチュア
【外資系投資銀行】
ゴールドマン・サックス
モルガン・スタンレー
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恋愛事情
理系院生の市場価値が最近あがってきたという話をよく聞きますが、少なくとも私のまわりではそのようなことを実感する機会は非常に少ないです。
理系院生の恋愛がうまくいかない理由は以下の3点があると思います。
1.出会いの機会がない
サークルに入っていないなど女性のいるコミュニティに属していないためなかなか出会うことが難しいです。
2.恋愛に発展させるだけのコミュニケーション能力がない
研究室ではマウスもしくは、3回りくらい離れた教授と、疲弊しきっている研究室同期としか話をしないため女性と話すコミュニケーション能力がまるでつかないというのが現状です。
外に出たとしても疲弊した顔を見られて、「つまらない人ね」と女性に敬遠されることもしばしばです…
3.恋愛に注げる時間が不足している
実験や、生物の管理でほぼ毎日学校に時間を問わず行く必要があります。時としてこれが理系院生を苦しめます。
好きな女の子とのデートを切り上げるべきか、いやこのまま女の子とずっと飲み続けようか…。
教授の叱責を受けるリスクと、今生を共にするかもしれない運命の人との縁を失うリスク、どちらのリスクをヘッジすべきなのか 、実験データの蓄積と愛の蓄積、どちらを取るべきなのか、まさに苦渋の選択を強いられるわけです。
このようにトレードオフの伴う究極の意思決定を迫られることがあり、「仕事と私どっちが大事なの?」と言われた大人の男性の気持ちが少しだけわかるような気がします。
しかしながら、恋愛がうまくいかない理由をあげる前にもっと努力しろよ!と言われるのはごもっともだと思います。
おわりに
研究職ではない職業につく私にとって、大学院の2年間は意味があったのか聞かれることがあります。大学院2年間の研究生活は我慢することが多くつらいことも多々ありました。
しかし、学生を余分に2年できたことで、得られなかった経験ができたり、コンサルティング業界に出会うことができたりと、大学院に来てよかったと感じることは多々ありました。
何より、研究生活で培ったストレス耐性や先行き不透明な未知なものに取り組む思考法や仕事の進め方は将来も生きていくと思います。
同じように理系の大学院で苦労している人がいるかと思います。
しかし、努力さえ続ければ目標は達成できるかもしれません。理系の院生のみなさんの就活がうまくいくことを願っています。
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